事例4

熟年のX(83歳)は、再婚を果たし、愛する後妻Bと幸せな日々を過ごしています。しかし、Xには前妻との間に一人の子供Cがおり、このような家族構成では、遺産相続が非常に複雑になりがちです。特に、再婚家庭では、前の配偶者との間の子供と新しい配偶者との間で遺産を分けることが難しい場合が多いです。

Xの望みは、自分が亡くなった後、Cにも適切な遺産を残したいと強く考えています。また、Bに対しても感謝の気持ちを形にし、自宅マンションを相続させたいという願いがあります。又、Bが亡くなった場合には、Bに相続したマンションを、Bの親族側ではなく、Cに相続させたいと希望しています。

このような場合、例えば次のような信託のご提案が考えられます。
Xは遺言書を作成し、Cには遺留分以上の金銭を相続させることにします。そして、残りの遺産を信託財産とし、信頼できる親戚を受託者に指定。当初受益者をX、第二次受益者をBとし、Bが死亡した場合にBの信託を終了し、残余財産をCに移行します。これにより、Bが亡くなった場合、残った自宅マンションなどの資産は、Bの親族ではなく、Cに戻るようになります。

ここで非常に大切なポイントがあります。通常の相続では、Aに移転した財産をCに承継させるためには、Bの遺言が必要です。しかし、これはBの意思に左右されるため、確実ではありません。信託を利用することで、円満な相続を早期に実現することができます。

さて、Xの家族は、信託を活用することで、互いの愛と尊敬を保ちながら、財産を適切に承継する道を築くことができました。これは、家族信託の力強い一例であり、多くの家族にとって参考になるでしょう。家族信託は、家族の絆を保ちながら、財産の承継を円滑に行うための有益なツールとなるのです。

また、信託を設定する際には、信頼できる受託者の選定が重要です。Xの場合、信頼できる親戚を受託者に選びましたが、信頼できる親戚がいない場合には、司法書士や弁護士等を信託監督人として、信託について、監督・助言してもらうことを検討することもできます。これにより、信託の運用が公平かつ適切に行われることが保証されます。

契約は法的な手続きを経ることで確実に実行されるため、Bの意思が変わったとしても、Xの遺産が意図した通りに扱われることが保証されます。これは、遺産相続におけるトラブルを防ぐための有効な手段となります。