H31~H32にかけて相続法が改正されるので、その研修をうけた際の備忘録(条文省略)
配偶者居住権
- 遺産分割や遺贈、裁判所の審判によって取得できる。
- 居住建物について無償で使用収益できる。
- 遺言書による場合、「遺贈」に限定されており、「相続させる遺言」によることはできない。なぜなら、居住権を放棄しようとしたとき、「遺贈」であれば遺贈による受益を拒否するだけだが、「相続させる遺言」による場合は相続放棄によらなければならず、居住権取得のみの放棄ができない。
- 法的には賃借権に類似しているが相続の対象とならない。
- 第三者対抗要件は登記による。
- 期間の定め方として、「当分の間」とか「別途改めて協議」としても登記できない。
配偶者短期居住権
- 被相続人の財産に属した建物に相続開始時に無償で居住している法律婚の配偶者が取得できる。
- 居住建物について無償で使用できるが収益権限はない。
- 第三者対抗力なし。
- 遺産分割により居住建物の所有者が確定した日か相続開始から6か月経過する日のどちらか遅い日までの期間
- 遺産分割による場合以外については短期居住権消滅の申し入れをしてから6か月を経過する日までの期間
遺産分割
- 婚姻期間が20年(離婚・再婚を繰り返している場合は配偶者の期間を通算した期間)以上の夫婦の一方配偶者から他方配偶者への居住用建物又はその敷地について遺贈又は贈与をした時は、遺産分割の際に持ち戻し免除の意思表示があったものと推定して、特別受益として考慮しない。
- 遺産に属する預貯金債権のうち、150万円を上限として仮払いを各金融機関に請求できる。受領した金額は請求した共同相続人が遺産分割により受け取ったものとみなされる。
相続開始時の預貯金債権額×自分の法定相続分×1/3
自筆証書遺言
- 相続財産目録については自筆によらなくても良いので、ワープロや代筆、登記事項証明書、通帳の写しを添付する方法も可。
- 相続財産目録を自署によらない方法により作成するときは各ページのに署名捺印が必要。
- 契印や同一の印による捺印は要求されていない。
- 自署によらない相続財産目録を「添付」することができるのであって、1ページに自署部分と印刷部分等を混在させてはいけない。
- 法務局における保管制度を利用した際は、検認手続きが不要となるが関係相続人に通知を行う関係上、検認手続きと同程度の除戸籍謄本等が必要になると思われる。
遺言執行者
- 任務開始時に遅滞なく遺言内容を相続人に通知する義務を負う。(遺言書の写し等を共同相続人に送付する感じかな)
- 共同相続人が対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。ということは、現行では相続登記を行う際は財産を取得した相続人が各自で行っていたけど、遺言執行者からの申請が可能となるのかな。
- 遺言の内容を実現するために必要な一切の行為を行う権利と義務を有し、その権限内で執行者が行った行為は相続人に対して直接その効力を有する。ので、相続人の代理人とみなす、とお言う現行法の表現とくらべてずいぶん明確になった。